RELAY ESSAY · VOL.02
“わからない”を、
ひとつずつ“わかる”へ
臨床から離れた経験を経て、30歳を前にエコーの世界へ
林さんが超音波検査を始めたのは、現在の職場に入職して3年ほど経った頃でした。最初に担当したのは心臓超音波検査です。
当時、先輩たちが熱心に勉強会へ参加し、自主練習を重ねる姿を見て、「超音波検査はとても難しく、自分にはできない」と感じていたといいます。それでも、一日でも早く技術を身につけ、職場の戦力にならなければという焦りとプレッシャーの中で学び始めました。
検査会社、研究所。そして再び臨床へ
新卒で検査会社に入職し、約1年間は検体検査に従事。その後は研究所へ転職し、約6年間、畜産分野の試験やワクチンの品質管理、細胞培養、遺伝子検査などに携わりました。
臨床の現場から離れていた林さんですが、「超音波検査を学びたい」という思いは心の中にありました。生理機能検査の経験がない状態で新しい分野へ挑戦するなら、30歳を迎える前が最後のチャンスかもしれない。そう考え、29歳で総合病院への転職を決意します。
転職活動で何度も断られた
転職活動は順調ではありませんでした。履歴書を送る前の電話問い合わせの段階で断られることもあり、希望する転職先がなかなか見つからなかったといいます。
さらに、内定を得ても「病院という雰囲気や、命を預かる現場の責任に自分は耐えられるのだろうか」という不安がありました。そこで病院見学に足を運び、自分の目で職場を確かめたことが、不安を和らげるきっかけになりました。
「何がわからないのか」を明確にする
病院で働き始めると、責任やプレッシャーの大きさを実感しました。超音波検査についても、最初は「どう勉強したらよいのか」さえ分からず、学び方そのものに悩みました。
そんな中で林さんが大切にしたのは、自分が何を分かっていないのかを一つひとつ明確にすることでした。先輩たちの指導を受けながら経験を積み、「わかる」を少しずつ増やしていく。その積み重ねが、自信につながっていきました。
産休・育休を経て、次は復職へ
現在は産休・育休中。林さんにとって、これから迎える復職も新たな転機です。超音波検査のキャリアはまだ長いとは感じておらず、資格もまだ取得していない中で、後輩を指導する立場になったことにも不安があるといいます。
けれど、指導する立場だからこそ、自分自身も知識や技術をより深く学び続けたい。復職後は育児と仕事を両立しながら、後輩ともお互いに学び合える関係を築いていきたいと考えています。
年齢ではなく、「挑戦したい」という気持ちを
振り返れば、林さん自身も年齢を気にしながら転職活動をしていました。それでも今は、「挑戦したいと思った時が、自分にとって最適なタイミングだった」と感じています。
スタートが遅いと感じることがあっても、経験が少ないと焦ることがあっても、一歩を踏み出した先でしか得られない経験があります。あの時、思い切って転職して良かった。林さんの言葉には、その実感が込められています。
挑戦したいと思った時が、
自分にとって最適なタイミングだった。
林さんにとって「超音波」とは
日々、新しい技術や知識が増えていく超音波の世界。検査に携わり続けることは、学びを止めないことでもあります。
だから林さんにとって超音波は、自分自身が挑戦を続けるための分野です。
音波女子より
100人いれば、100通りの働き方があります。
「もう遅いかもしれない」「経験がないから難しいかもしれない」。新しいことを始める時、年齢やこれまでの経歴が気になることもあります。
でも、大切なのは誰かと同じタイミングで始めることではなく、自分が「やってみたい」と思った気持ちを見逃さないことなのかもしれません。
“わからない”を一つずつ“わかる”へ。
林さんのストーリーが、新しい一歩を迷っている誰かの背中をそっと押してくれますように。
―― 音波女子